東京圏の鉄道網の整備はさらに進むのでしょうか(下)

東京圏の鉄道網の整備はさらに進むのでしょうか(上)では、交通政策審議会(前身は運輸政策審議会)について、(中)では、現在の鉄道網整備の方針を決めた運輸政策審議会 第18号答申を紹介しました。

最後となる今回は、第18号答申後の鉄道網の整備の方針がどうなるか、検討の状況などを紹介します。

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交通政策審議会での検討状況

交通政策審議会では、鉄道部会に「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」を設けて、第18号答申後の2015年以降の整備を検討しています。

小委員会は既に9回開催されていて、本年7月1日の9回目の会議では、これまでの議論を振り返り、「中間整理」をまとめています。

「中間整理」はこちらに掲載

「中間整理」の内容

「中間整理」には、今後の方向性が記載されています。

特に、2020年のオリンピック・パラリンピックに関する記載が多くなっています。以下、抜粋です。

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都市鉄道の取組

  • 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の輸送需要の増大は、多くが外国人等東京圏の鉄道サービスに慣れていない利用者によるものであることを念頭に対応することが必要
  • 施設改良・整備、サイン改良、サービス充実等については、大会開催期間中の一時的なものでなく大会後のレガシーとなることを念頭に置くことが必要

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会時の輸送確保について

  • 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に伴う鉄道の輸送需要の増大についても、概ね既存の鉄道インフラで対応可能と考えられる。

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた空港アクセスの改善について

  • 現在、空港アクセスについては、複数の新規路線のプロジェクトが検討されており、その中には、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までの暫定開業等の実現可能性についても検討が行われてきたものもあるが、新規路線の整備には、環境アセスメント等の事前の手続や実際の工事に相当の期間を要するため、大会開催までの期間を考慮すると、大会開催までの開業は困難である見通し
  • ソフト・ハード両面から改善に向けた取組を行うべき。ハード面に係る取組については、既存ストックの有効活用を図る観点から、まずは既設路線の改良で対応することとし、それでもなお、課題に適切に応えられない場合に新規路線の整備の検討を行うべき。

2020年には間に合わない

ということで、オリンピック・パラリンピックは、既存の鉄道網で間に合うし、今から整備を始めても間に合わないだろう、というのが、方向性のようです。

したがって、オリンピック・パラリンピックを念頭に置く整備にはならないということのようです。

オリンピック・パラリンピックへの対応としては、路線の新設よりも、

  • バリアフリー化
  • 外国人対応の促進
  • 駅空間の高品質化
  • 防災・災害対策の高度化

などを進めるとしています。確かに、こうした対策は重要だと思います。

東京都の提案

東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」での具体的な路線の選定はこれから詳細が詰められると思いますが、それに先立って、地元の東京都が、「広域交通ネットワーク計画について」を発表しました。

これは、地元の立場から交通政策審議会に提言するというものです。

東京都はこの中で、以下の5路線を「整備について優先的に検討すべき路線」と提言しています。

  • 東京8号線延伸(豊洲~住吉)
  • 東京12号線延伸(光が丘~大泉学園町)
  • 多摩都市モノレール延伸(箱根ヶ崎方面)
  • 多摩都市モノレール延伸(町田方面)
  • JR東日本羽田アクセス線

オリンピック・パラリンピックに引きずられて湾岸ばかりになるかと思いきや、内陸部の方が重点的に感じます。

東京都の提言では、どのくらいのタイムスパンで考えているかがよく分かりませんが、確かに、需要のありそうなところばかりで、オリンピック・パラリンピックに関係なく、整備が必要そうな感じです。

交通政策審議会の今後の予定

交通政策審議会では、今後、関係自治体や鉄道事業者などの関係者からヒアリングしながら、答申を固めていきます。

公表されている予定によると、この秋くらいでまとめに入り、今年度中に答申が出るようです。

議論の行方を注視していきたいと思います。

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